ヨックモック・コレクションは、ピカソのセラミック作品のエディション*を数多く包括的に収集した、世界で有数のコレクションのひとつです。ピカソのエディションにおいて最も特筆すべき点は、職人が型やろくろによって形態を忠実に複製し、ピカソがときに型破りな方法で生み出した形態や効果をも再現したことです。
セラミック制作に初めて本格的に着手した、第二次世界大戦後の1947年から1973年に死去するまで、ピカソはフランス南部のヴァローリスにあるマドゥラ工房でラミエ夫妻と緊密に協力しながら、数千点にものぼる作品を制作しました。ピカソのセラミック作品を数多く所蔵するヨックモック・コレクションには、お椀、水差し、食器、大皿といったエディションとして生産された多岐にわたる容器や優れた大型の作品の全てが含まれており、ピカソの粘土を通じた創造の比類なき記録を示すものとなっています。

*「エディション」とは、南仏の町ヴァローリスにあるマドゥラ工房で、ピカソが熟練した職人たちと協働し創り出した作品のこと。

「菓子は製造するものではない、創造するものだ」

『シガール』を代表商品とするヨックモックの創業者である藤縄則一はこのように語り、生涯を通して菓子づくりに挑戦し続けてきました。創業以来「厳選された材料」を使用し「優れた製造技術」で「まごころ」を込めてつくるという、菓子づくりの姿勢を大切に受け継いできたからこそ、今のヨックモックがあります。
ある日、二代目・藤縄利康はピカソのセラミックに出会います。そこにあったのは「豊かで自由な発想」「手作りから生まれるあたたかさ」「類まれなる情熱」でした。それらすべては則一もまた最も大事にしてきたことであり、多くの人を笑顔にするための力の源でありました。以後、ピカソのセラミックはコレクションされ、約500点以上もの作品が集います。
私たちは、このピカソのコレクションを展示し、多くの方々にご観覧いただくことを目指しています。それは美術作品の鑑賞にはとどまらず、ヨックモックが大事にしてきたこと、その理念や精神をピカソのセラミックスの展示と教育普及活動を通して育み、誰しもが驚きと発見に出会える場所を生み出していきます。

全ての人々が芸術にふれ、驚きと発見に出会い、生活をより味わい深いものにすることを目指して独自のラーニングプログラムを設けています。
特にアートセラピーを応用したアートセッションは、芸術の心理的、精神的な効用にも着目して設計された多様な参加型プログラムであり、人々の創造性の向上や心の休息を得られる機会を提供します。

ここでしか体験できない、「アート×お菓子」の世界やアートセッションをお楽しみいただけます! ヨックモックのお菓子の世界と、ピカソという芸術の世界の出会いを通して、お菓子をもっと面白く、芸術をもっとおいしくする、お菓子とアートのコラボレーションを企画・実施していきます。当館ならではの各種アートセッションやイベント、カフェメニューにどうぞご期待ください。
※写真はイメージです。

店名「カフェ ヴァローリス」は、 ピカソが戦後、精力的にセラミック制作に取り組んだ町の名前にちなんで名づけられました。自然光が心地よいカフェの中庭には、四季折々の美しさを楽しむことができるハナミズキが1本植えられており、ヨックモックミュージアム内のコレクションをご覧いただいた後は、余韻に浸りながらくつろぎの時間をお過ごしいただけます。もちろん、カフェのみのご利用も可能です。
ヨックモックグループ内ハイエンドパティスリーブランド「アン グラン」のミニャルディーズ*をご提供いたします。


*ミニャルディーズ
フランス語で「上品さ、可憐さ」という意味を持つ、ひとつまみサイズのお菓子のこと。UN GRAIN (アン グラン)では、家族や友人など大切な人たちと過ごすひとときにおもてなしの心を表してくれる、小さくシックなお菓子を総称して呼んでいます。

UN GRAIN (アン グラン)

ヨックモックミュージアムは、「菓子は創造するもの」という想いを受け継ぎ、その言葉やお菓子と共鳴するピカソのセラミック作品をコレクションした美術館です。だからこそ、ピカソとヨックモックのどちらのファンにも驚きと発見に出会える場を提供することを第一と考えました。さらにはミッション・ヴィジョンを骨格としてアート・教育・食といった多様な領域がありながらそれらが一体となった美術館の姿を、幾重にも及ぶワークショップを経て計画・具体化し、運営していけるようデザインしています。

栗田祥弘建築都市研究所

南青山の住宅地にオープンするヨックモックミュージアムは、家に友人を招くようにお迎えしたいという思いからこの敷地を選んでいます。建築も2階建ての小さなボリュームが組み合わさった家型として、中庭を介して「市中の山居」の様に光、風、植物を感じられます。素材もピカソのセラミックやお菓子の様に焼き物にこだわりました。屋根はピカソがセラミック制作をしていたコートダジュールの瓦ディテールをオマージュし、床や壁は陶芸窯で使われている耐熱レンガをイメージしています。
ピカソのセラミックは自然光で見ると、色彩がとても鮮やかに見えるのが特徴です。 2階の展示室は中庭などからの自然光をふんだんに取り入れた開放的なスペースとして作品のポテンシャルを引き出しています。地下の展示室は逆に光を調整し、企画に沿って絵画や版画なども併せて紹介できるようにしています。1階中庭に面したカフェはグッズショップやライブラリーも併設し、展示室を介さずに誰でも自由に出入りできます。カフェや展示室はアートセッションやレクチャーの場にも臨機応変に入れ替わり、驚きと発見に出会えるよう工夫しています。

栗田祥弘建築都市研究所

セラミックのあたたかみや柔らかな表情、アートセッションなどの幅広い層へ向けた多様なプログラムもあることから、全体的に丸みのある親しみやすいフォルムと、主となるコレクションのセラミックをシンボルモチーフとしてロゴデザインを構成し、ポスターやカタログ、グッズなどのグラフィックへも展開しています。シンボルカラーはヨックモックのCIから着想した3色のブルーを用いることで親和性を感じさせ、制作過程や環境から生まれるセラミックの豊かな色彩も表現しています。

廣村デザイン事務所